大地震が起きると、家の中に備えられた家具、電気製品等が、普段便利な物から一転して凶器となります。幸い、家は倒壊しなくても、家の中の家具や家電製品が倒れたり落ちてきて命を失うことが有れば、浮かばれません。平成16年10月の中越地震では怪我した一番の原因は家具類の転倒・落下物で41%でした。6月のアンケートで家具類を固定している方は22%でまだ少ない結果でした。(因みに平成16年に消防庁が実施した調査では都民の対策率は28%だった由。) 家内の安全対策は先ず不要な物が無いか整理から始め、家の中をすっきりさせましょう。
家財の配置原則
(1) 寝室、子供部屋、身体の不自由な方の部屋には、大きく丈の高い家具や重い電気製品は 極力置かないこと。現実に置かざるを得ない場合は必ず、壁や柱にしっかりと固定すること。且つ、寝た時に頭側にはそれらを置かないこと、タンス、出口への通り道を確保すること。重い電気製品を家具の上や、棚に載せないこと。
(2) 家の外に出る通路には、物を置かないこと。暗闇の中で逃げるのですから、物が置いてあれば、つまずいて当然。通路途中の棚には、落ちたら割れる物、重たい物は置かないこと。階段の踊り場には花瓶棚などは置かないこと。階段に手摺があると急いで降りる時に便利。
(3) 家財類は雑然と部屋の中に配置しないこと。整然とすっきりした置き方であること。
(4) 背の高い2段タンス、2段ベッドは繋ぎ部分から外れないように接合部を補強すること。
(5) タンスや棚には重たい物を下側に収納し、上部は軽い物を仕舞います。
(6) 家の外も玄関から道路に至る通路を広く確保しておく。(プランター、鉢植えが邪魔しないよう に配置に工夫をする。)
危険な物(家の中を見渡して検討してみて下さい。)
(1) 丈の高い和タンス/洋タンス、ガラス戸の食器棚、本箱・本棚、洋酒棚等...
(2) ピアノ、水槽、二段ベッド等の重量物
(3) 重量のある家電製品(冷蔵庫、洗濯機、ブラウン管テレビ、食器洗い機、空調機、音響製品等)
(4) 棚に載せた中小型電気製品等(電子レンジ、ポット、パソコン、プリンター、FAX電話機、小型テレビ、オーディオ、電気釜、貯金箱など)
(5) 天井に取り付けられた照明器具、天井換気扇等
固定対策
(1) 家具類:基本的には壁の桟や柱、梁にL字金具でネジ止めすること。家具の下には手前に下敷きを挿入しておく。先ず、石膏ボード壁面裏側にある桟の位置を叩いて正確に探し出すこと。その位置にL字金具を当てて、家具上面にしっかりした部材が有れば、そこにネジ止めする。もし、家具の丈夫な部材と壁桟の位置が会わなけば、家具上面に木材板をネジで取り付けてその上に壁桟の位置でL字金具を取り付ける。(木ネジは石膏ボードの厚みを考慮して最低4Φ×30mmL以上)38厚×89mm巾石膏ボード壁裏の桟を探す方法として、図面で(2x4材)位置をみて針を刺して探すやり方や、専用の「壁裏センサー」で探すやり方もある。ツバイフォー工法家具上面と天井との間に挿入する「突っ張り棒」は挿入する位置を間違えると地震の時外れてしまうので、慎重に挿入する位置を探すこと。(突っ張り棒の上端は天井の梁に当てること。突っ張り棒は家具の奥、即ち壁側に入れること。)
(2) ピアノ:専用の脚靴を履かせる。(200kg以上の重さがあるので楽器店で耐震用具を購入して、必ず固定すること。)阪神・淡路大震災の時は、二階に設置されたピアノが家を突き破って庭に飛び落ちたそうです。出来れば楽器店に相談して自宅の状況に見合った対策をしましょう。対策費は14千円から60千円位です。「ピアノサポート」という更に別の脚を付ける方法もあるようです。
(3) 冷蔵庫 :専用の固定具があるのでメーカーより取り寄せる。ペットボトルが多い。必ず、冷蔵庫に合った固定具を取り付けること。
(4) ガラス扉の食器棚 :観音開きのガラス扉は止め金具を付け、ガラス面にはプラスチックシートを貼ること。大きな揺れで扉が開くと、中の食器が飛び出し床の上に破片が散乱する。また、ガラスが割れて床の上に飛び散らないように飛散防止用フィルムをガラス面に貼って置く。食器棚にはタオルを敷いてその上に食器を伏せておく。(5)テレビ、パソコン、電子レンジ等 :足下に月ストッパーーやゴムシートを敷く。ブラウン管テレビは重いので、タンスの上などには置かないこと。出来れば、鎖等で縛るとよい。L字金具や鎖は木ネジ(4.0Φ×20L以上)゙で台に止めること。
(6) 車輪付き家具 :車輪の付いたテレビ台、棚等は平素は出来るだけストッパーをかけて固定しておく。
(7) シャンデリアなどの吊り下げ照明器具 :大きく揺れて危険なので、ストッパーなどの対策をしておく。吊り下げタイプではないが、大きな高い照明スタンドも転倒防止をしておくこと。
この機会に是非、家の中に置かれた家財を見渡して
雑然と物が置いてあれば、思い切って、不要なものは整理してしまいましょう。家具をL字金具で見えない柱や桟に止めるのは慎重さが必要です。出来るだけ建築図面で 柱や桟の位置を確認してから取り掛かりましょう。もし、難しいようでしたら、プロに頼んで確実に 固定して貰います。但し、悪質業者を避けるため、常時、廻りの人達が依頼している業者に頼みましょう。
寝室に履物を置いている方は6月アンケートで24%でしたが、散乱したガラス破片で怪我をしないよう、スリッパ位は用意しましよう。
次回は「擁壁とブロック塀の点検」について考えます。