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No.5 何故、防災対策をしないのか?
平成18年1月15日
 
このサイトの画像は片吹団地の古屋英隆さんが団地のあちこちで描いたスケッチです。
我が街、さて何処でしょう?

今までの連載で、家の補強、家の中の安全対策及び擁壁の管理と先ず緊急度の高い防災対策について述べました。しかしながら、成る程とは思っても実際に一つでも対策をされた方は残念ながら少ないことでしょう。災害が起こる前に防災対策をすることは如何に難しいことか。名古屋市が平成16年12月に行なった自分の家についての市民アンケートでは・・・

 

  • 耐震改修をした又はしたいと思っている....6.9%  

  • 建替え・新築をした又はしたいと思っている...9.5% (合計16.4%)

  • 地震に対する不安はあるが、特に何もしていない...46.6%

 

  やりたい気はあるが、実行した人は少ない

災害や事故などの危険を理解する場合に、自分にとって不都合なことや自分の感情にそぐわない情報であれば、情報自体を都合よく変えてしまう傾向がままあるようです。

 

たとえば、自分の家は昭和56年以前に建てたという事実と昭和56年以前の建物は耐震性に欠けるという一般情報に接した時に実際には平屋で耐震性の有る家あるのだが・・・

 

  • 自分の家は耐震性に欠ける → 認めたくない情報は、出来るなら無視したい。        

  • 改修・建替えするには、資金、エネルギーが必要ですぐには対応出来ない(不愉快、居心地が悪い状態)→ 地震で必ず家が倒れるとは限らない。これまで大きな問題が無かったのだから、これからも問題が起きる訳が無い。皆がやっていないのだから大丈夫だろう。自分だけは死なない、大丈夫!!!

 

つまり受け入れやすい情報に変えて、心のバランスをとるというこういった心理状態になり、何もしないという推移になりがちでなのす。

 

​  思い切って実行しませんか

たしかに何十年も住み慣れた家をリフォームのためでなく耐震向上のための補強改修をするには大変なエネルギーが必要で高齢になればなるほどひと仕事です。家の補強工事の必要性を知識として感じるだけでなく、いざという時の状況を実感出来ない事には実行する勇気が出ません。家族のどなたかが家の下敷きになったり、たとえ全員が無事でも倒壊した家の前で呆然としている自分の姿を思い浮かべて見て下さい。何かせざるを得ない気になったら是非、行動しましょう。 

 

以上のように事前に防災・減災対策を行なうのは大変なことですが、実際に危機が迫っていても心の非常スイッチが入らない現代人が多いそうです。 たとえば、ホテルで火災報知器のベルが鳴っても、楽観的になって自分の都合のよい情報だけを受け入れ都合の悪い情報は切捨てたり(=誤報とか訓練とか考える)、集団で居ると群れを乱すような行動(=自分だけ逃げる)は起しにくく、ジッとして居て結果的に逃げ遅れるケースが過去に多いことはご承知のことだと思います。家の補強、家具の固定、擁壁管理等の防災、減災対策を今から行なえば、十分、大地震に備えられます。自分、家族のため、そしてご近所に迷惑を掛けぬよう、思い切ってすぐに実行しませんか。 

 

 

次回は「非常時に対する家族の取決め」について考えます。

 

※主として山村武彦著 『人は皆 「自分だけは死なない」と思っている』 宝島社刊を参考にしました。

 

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