前回の「片吹も危険がいっぱい?(No.1)」で、大地震が起きた時、最初の3分間、生き延びられるかどうかが勝負だと申しました。10年前に起きた阪神・淡路大震災では死亡原因は家屋の倒壊や家財の転倒で圧死された方が88%、焼死された方は10%でした。また、負傷原因は家具等家財の転倒、落下が47%、ガラスの破片による怪我が29%でした。
我が家を補強しよう
片吹団地も住宅密集した町で大災害が起これば、神戸と同様な被害に遭う可能性が高いと考えられます。 専業主婦や小さなお子さんそして定年後の中高年は外出時を除き殆ど家に居ます。勤労者でも(平日は毎日16時間不在、土日、祝日は勤務なしとする)在宅時間が200日分あり、55%は家に居る状況です。勿論、休日はゴルフや家族サービスで家に居ない時間もあるでしょうが、それは常時在宅の家族も同様です。勤労者は有給休暇もこれに加わるでしょうから、家に居る筈の時間は結構多いのです。従って、世帯主たる者、たかが大地震位で落城することの無いように日頃から自分の城の管理をしておくのは、家族のため、自分のため、当然の務めではないでしょうか。
又、万一、家が倒壊すると火を使っている時間帯であれば火災を起こして周囲を延焼の被害に巻き込む恐れがあります。先ず、我が家の耐震補強をしましょう。
大地震が発生した時に、一般の木造住宅が蒙る被害状況は?
震度階級耐震性の低い住宅耐震性の高い住宅震度5弱壁や柱が破損するものがある、震度5強壁や柱がかなり破損したり、傾くものがある、震度6弱倒壊するものがある壁や柱が破損するものがある、震度6強倒壊するものが多い壁や柱がかなり破損したり、震度7傾いたり大きく破壊するものがある地盤、斜面の状況は?
震度5:軟弱な地盤で亀裂が生じることが在る。山地で落石、小さな崩壊が生じることがある。
震度6:地割れや山崩れなどが発生することがある。
震度7:大きな地割れ、地すべりや山崩れが発生し、地形が変わることもある。
震度は震源から遠くなるほど弱くなりますが、地盤の種類によって揺れの大きさは変ります。
又、地震によって起こされた地震波の全エネルギーをあらわすマグニチュード(M)が大きければ震度も大きくなります。(Mが1大きくなる毎にエネルギー量は32倍増えます。即ち、M7はM5の1,000倍大きい。)大地震で自分の家が倒壊して幸い、命だけは助かったとしても、それからの人生を立て直すシナリオが描けるでしょうか。倒壊した我が家を眺めて途方に暮れるのが現実ではないでしょうか。一方、大地震後も我が家が倒壊せず、家族も無事で、多少の修理でこれからも住める見通しがたてば、再建に向かって元気が出るに違いありません。
平成17年6月、安否・安全確認訓練を行った時に提出頂いたアンケートによると、震度6弱の地震が起きた時に、我が家は大丈夫と思っている方は19%、ダメが17%、どちらとも言えないが64%でした。80%以上の方が自分の住んでいる家に不安を持っているのです。ご承知のように、家が大丈夫かどうかは、先ず、家の建っている地盤や基礎の状態と家の構造や経過年数が影響します。片吹は地盤は良好ですが、造成した時の盛土状況に大きく左右されます。家は従来工法(軸組み工法)で、昭和56年以前に建てられた木造家屋は横浜市の無料耐震診断を受けられます。(昭和56年に建築基準法が改正され、耐震基準が強化された。)
制度の概要
・対象建築物:昭和56年5月末以前に建築確認を受けて着工した二階建以下の木造戸建 の自宅(但し、2×4、コンクリート住宅は除く)
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診断費用:横浜市が全額負担(無料)耐震診断士:横浜市が実施した講習を受講し市長が認定・登録した者(540名)
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診断判定:A.地盤・基礎、B.建物の形、C.壁の配置、D.筋交いの有無、E.壁の割合、 F.老朽度の6項目に分けて行われ、「大地震の際にやや危険及び倒壊の 危険がある。」(総合評点が1.0未満)と診断された住宅は横浜市木造 住宅改修促進事業の対象となります。耐震改修工事:基礎、柱、梁、筋交いの補強、屋根の軽量化ふき替え等の工事が行われ、 結果は、「一応安全」(総合評点1.0以上、1.5未満)または 「安全」(総合評点1.5以上)となります。耐震改修工事:一般世帯は150万円、非課税世帯が225万円を上限として補助が受けられます。
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事業開始:平成11年7月1日
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問い合わせ先:横浜市建築事務所協会『木造耐震診断』係 ℡045-662-2711
耐震診断は平成7年度から16年度までに累計16,000戸が行われましたが、この内、倒壊の危険があると診断された家は6,000戸で、耐震診断の対象家屋は市内で20万戸あるそうです。
この制度が始まった平成7年度以降、16年度までの間に診断を受けた件数は9,500件あり、危険と診断された家のうち、補助を受けて改修した家は凡そ1/4程度しかないのが実情のようです。
因みに、改修工事費の平均はおおよそ500万円で、平成17年度以前では補助額が300万円、自己負担が200万円だったそうです。改修工事費は最低でも100~200万円はかかっているようです。(市住宅計画課の話)平成18年度以降は補助額の上限が下がりました。
この10年間で診断を受けた家が1万6千戸の横浜市に対して、東海地震や東南海地震の危険性のある静岡県ではこの1年間で2万件の耐震診断が行われており、住民の危機意識の高さが窺えます。
命有っての物種。先ずは住んでいる家に先行投資しませんか。
改修工事は身元のハッキリした業者やハウスクリア横浜「住まいの相談カウンター」(NPO法人横浜市住宅リフォーム促進協議会ーTEL:045-912-7474)で斡旋している設計者や工事業者に依頼するなど慎重に業者を選定しましょう。最近はやりの悪質リフォーム業者などにはくれぐれも引っかからないように十分お気をつけ下さい。
横浜市の無料耐震診断も電話や訪問勧誘などの活動は一切行ってはいません。
次回は「家の中の安全対策」について考えます。